私たちは、みなさんといっしょに行政改革を考えたいと思います

 私たちは、「職場と行政に憲法を」のスローガンを運動の基調にすえ、国公 労働者の労働条件の改善をめざすことと、国民本位の民主的な行政実現をめざす ことを運動の中心課題にすえてとりくんできました。
特に、1980年代からの臨調「行革」(第2次臨時行政調査会以降の行政改 革)には、これに反対する立場での運動を繰り返しとりくんできました。
それは、臨調「行革」路線が、軍事費を拡大させる一方で、社会保障費や教育 費など国民生活の基盤となる財政支出を厳しく抑制し、消費税導入など経済的弱 者に負担をしいることを「財政再建」と位置づけていたことなど、国民生活に目 を向けた行政改革ではないと考えたからでした。

 政府と財界が一体となり、アメリカなどからの「外圧」なども利用して臨 調「行革」が進められましたが、その結果は、96年度末で国と地方の借金をあ わせて442兆円にものぼる「天文学的な数字」にまで膨らんだ財政の悪化でし た。国民には負担増を迫りながら、大型プロジェクト中心の「ゼネコン型」の公 共事業や軍事費には惜しげもなく税金をつぎ込んだために、「破産状態」ともい えるこのような財政状態になりました。
 臨調「行革」で行政のありかたも大きく変わりました。それまで国が直接お こなっていた行政サービスを民間に委託したり、補助金を出すことで民間企業に 肩代わりしてもらったりすることが増えました。その結果、利権あさりと「政・ 官・財」のゆ着がいっそう激しくなり、それぞれが行財政を「食い物」にし、国 民生活擁護と国民の期待から遊離している行政の実態は、厚生省官僚などの汚職 ・腐敗事件などでも明らかになっています。

 96年10月の総選挙を受けて発足した第2次橋本内閣は、行政改革を「火 だるまになってすすめる」とする「決意」を明らかにしています。しかし、その 中味は、消費税率引き上げや医療保険制度の改悪などで9兆円もの新たな負担を 国民に求めながら、これまでと同様に、軍事費や大企業本位の公共事業を聖域化 して財政のムダ遣いをあらためようとしていません。
 また、いま問われている規制緩和でも、財界・大企業のもとめに応じて、雇 用や福祉、医療、教育、中小・零細企業保護の分野にまで競争と営利第一の「市 場原理」を持ち込もうとしています。

 21世紀を目前に、わが国の政治・行政・財政の行きづまりは深刻です。 これを打開するための改革が、早急に求められていることは誰の目にも明らかで す。私たちは、「誰のための、何のための行政改革か」が問われなければならな いと考えます。
 私たちは、「基本的人権の実現が行政の役割」との立場で、1982年に「 国民本位の民主的行政改革についての『国公労連の提言』」を公表し、その立場 にたって国民の皆さんとの共同のとりくみを追求してきました。
 その82年の「提言」をもとに、今日の行財政の実態をふまえて、現時点の 行政改革の課題をあらためて整理したのがこの「第1次案」です。私たちは、国 民生活重視の行財政にかえていくためには、そのことをめざす労働者、勤労国民 の幅広い運動が大切だと考えます。そのような運動のうねりを作りだしていく一 つの契機として、私どもの作成したこの「第1次案」をご検討いただき、率直な ご意見でより豊かなものにしていただきますとともに、国民本位の行政改革の実 現にむけて共同の取り組みへの積極的なご参加を心からお願い申し上げます。

INDEX

私たちはみなさんといっしょに行政改革を考えたいと思います
私たちは行政改革について次のように考えます
行財政改革は次の7点を基本におく必要があると考えます
いま改革すべき制度や機構は次のようなものだと考えます
私たちは国民のみなさんと力をあわせて国民本位の行財政確立をめざしたいと 思います

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